〜蘇生する土、回帰する農業〜




小清水は、三方を阿寒国立公園、知床国立公園、網走国定公園といった 規模の大きな自然公園に囲まれ、一方はオホーツク海に面した、大小の 湖沼や深い森の点在する、いかにも北海道的な景観のひろがる町です。

このあたりはまた日本でも有数の畑作地帯として知られています。ヨー ロッパの国々や、カナダ、アメリカ北部など欧米の農業国と同緯度線上 にあるため、農業の形態もきわめて欧米風です。            


小清水 - 日本の食料供給基地

その中心は、じゃがいも、ビート、小麦などのほか、アスパ
ラ、トウモロコシ、メロン、ニンジン、カボチャ、ゴボウ、タマネギ、
大根といった野菜類の生産。そして酪農、花卉栽培も盛んです。      



そんな小清水は、これからもこれまで同様農業とともに育っていく町。
それだけに長期的、大局的な視野に立って農業の未来を模索していくこ
とは、町が担う使命といえます。                 

未来へと転回する農業

しかし、私たちの眼の前には、農業の基本というべき土が機械化や農薬
の大量散布によって著しい疲弊を余儀なくされているという現実が横た
わっていました。                        

人の手で、何十年も収穫を繰り返した畑は、有機物が減り、有機物を餌
にする微生物もいなくなります。疲労し、やせ衰え、病んでしまった土。
そういう土に化学肥料を与え、農薬を使用し、ムチ打つようにして作物
を育てる農業に、生産者であるわたしたち自身が疑問をもっていました。

もっと畑をいたわり、土を癒さなければ、ほんとうに味が良く、安全で、
栄養価の高い農作物は収穫できない。               

小清水町は、化学肥料や農薬に頼りすぎる農業からの脱却という重い課
題を、自力で解決しようとしています。              

わたしたちは、生命力に満ちた活力あふれる大地を再生し、次の世代、
そのまた次の世代へと引きついでゆく使命があるからです。     

蘇生する土


ゆう水。
無味無臭だが、1ccの中に
何十億あるいはそれ以上の
微生物がいるといわれる。


強くにぎっても固まらない
土。土壌菌やバクテリアで
甦った土は、手触りが違う。
小清水町では、9年前から一部の人々によって新しい発想の土づくりが はじまってました。目標は、少しでも昔の土へ近づけることでした。
そのために、遠くは四国の高松から、近くは地元の原生林の奥の腐葉土 や、沼地の底の泥の中から、昔の性質をバランスよく保っている微生物 群を集めました。
そして、酪農家のあり余る牛の尿や、農産物の加工場の廃液を培地にし て大量に培養しました。それが「ゆう水」です。

澄んだ飴色をした「ゆう水」には、昔の土と同じように何千もの土壌菌 が生きており、それ自体が土を蘇生させるのに有効な肥料分であるとと もに、堆肥のもとになるさまざまな有機物の発酵と熟生を促進する作用 もあります。さらに、作り出された「ゆう水」によって完熟した堆肥を 牧草地に撒き、地力を高め、そこで育った健康な牛を育てるという理想 の循環系を作り出せるのです。
                  

土は徐々に本来の健康を取り戻し、甦ろうとしています。生きている土 として呼吸をはじめようとしています。手に取るとヒンヤリ湿り気があ り、懐かしい土特有の香りがするまでになりました。私たちのそんな働きか けに対する答えとして、土はやがて誰もが安心して食べられる、おいし くて栄養に富んだ作物を育ててくれるでしょう。


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